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「若おかみは小学生!」

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若おかみは小学生!」観てきましたよ。原作は児童向け文庫「青い鳥文庫」ですので、子供向けかと思いきや。いや子供向けなんですけど。



他の映画の予告で流れても、ふーん、位だったし、作品自体の知識も「本屋の青い鳥文庫の所に行くと凄い平積みしてる」「どうやらこないだテレビ版が最終回だったらしい?」程度しかなかったのですが、映画方面の人らが「ノーマークで観に行ったら感動して泣き死んだ」「俺内今期アニメ映画ランキング上位確定」等とえらいプッシュするのです。でもさあ、予告で見る限り、なんか若女将になった小学生が幽霊の子供と知り合って最終的には幽霊の子は成仏して若女将のほうもなんかしらの成長をしるしてオワリ、なんでしょう? なんて言ったら、「こないだ公開されたけどいつ終わってもおかしくない興行らしいのでマッハでいって確かめてみろ」と返されたので、そこまで猛プッシュされるなら……と、会員価格の日に(つまり金曜、今日だ)予約してみました。安い日に行くあたり、保険かける人生ね。

予約可能日時になると即予約するタイプのセッカチさんなので、三日前に予約を終えたのです。それから二日の間、自分のトゥイッタータイムラインが「若おかみは小学生で感動して泣き死んだ」で徐々に染められていき……。

そして今日。


それでは泣き死ぬまで30行ほど。ホントはこんな文章では全く伝わらないので、今すぐブラウザを映画館サイトに切り替えて、チケットを予約してほしい!


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29!

-☆-

いやあ良かった。

先に書きました通り、作品への知識は皆無に等しいのですが、完全オリジナル映画として出しても全く文句が出ないであろう話の運び方が秀逸です。原作を読んでいることが前提、テレビアニメを見ていることが前提という表現はは全く感じませんでした。
とはいえ後ほど聞いたところによると、話の筋に関係ないところで、原作ファン向けアピールもきちんと行われていたようです。すげえな。

一方で、そのお話のほうがのっけからヘヴィーな展開。帰省(たぶん)から帰る高速道路、対向の大型トラックが分離帯を乗り越えて主人公家族の車に激突、両親死亡という。トラックが吹っ飛んでくるシーンで切り替わってはいるのですが、お子さんにはチト刺激の強いドライブレコーダ的映像ですよ。開幕五分で。

大人なので「あー両親は死んでるんだろうなー」と理解できるんですが、続くお話のそこここに「両親は生きてる」と錯誤させるような演出があるのです。それはほんのちょっとした言い回しであったり、主人公・おっこが見ているであろう(はっきり言えば幻覚)両親の姿だったりするのですが、それがシームレスに差し込まれるので、観てる方もだんだん「もしかして両親は重傷かなんかで入院しているだけなのでは?」みたいに、その生死があいまいな感じになっていきます。
たぶんこの「あいまいな世界」への誘導に一役買っているのが、おっこを取り巻く三人の幽霊・鬼の存在でしょうなあ。彼らの存在により、「幻覚の」両親は幻覚なのか、それとも幽霊なのかがあやふやです。


さらりと書いてますが、こうなった時点で観客は「おっこの精神状態を追体験」させられてるんだよな。
おかげで宿泊客の女性占い師・グローリー水領さんとのお出かけでの、高速道路シーンが怖い怖い。普通に描いているだけなのに、対向のトラックが妙に気になります。


さて。
おっこ以外には見えない・聞こえない彼らに支えられて、おっこは若おかみとしての道を歩み始めるのですが、癖のある宿泊客との出会い、そして「客」であるが故の別れを繰り返していくうちに、三幽霊との別れ、両親の死の確定的な部分が仄めかされます。
あーこれは予告みたいに、全員成仏してありがとうありがとうワタシがんばるねエンドかなあ、と穿って見ていたのですが、最後の客のエピソードが全くの予想外。というか、おっこが乗り越えるべきハードルとして、「両親の死を受け入れる」というのは重々承知していましたが、こういう形で出してくるかー……。

もうここから先は館内すすり泣きの音がですね。
ただ、これは「別離」が悲しいからというよりは、「おっこ立派になって……」というほうの、感動の涙に近い気がします。
何度も祖母から(そういえば最初は両親からだった)語られる、花の湯温泉の由来「花の湯温泉のお湯は、誰も拒まない──」。まさにこれを実践したおっこの姿に、画面が滲みますわ。


神楽舞から始まった映画、ラストも神楽舞で〆です。ちょうど一年経ったことになるのでしょうか。そして三幽霊+両親との別れはこの舞の最中に描かれるのですが、ちょっとドライではないか、というくらいに別離のシーンは描かれません。見終わった後はこの辺りがちょっと気になったのですが、思い返してみれば、ラストエピソードですでにその辺りは乗り越えているんですよな。そう思うと、このドライな別れもいいものです。

-☆-

いやあ、人から勧められておいてナンですが、気になっているけどキャラデザが完全にキッズ向けだし青い鳥文庫だし、て人は今すぐ観に行ってください。キャラデザなんか動いてるの見てるうちに気にならなくなるわ。

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