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「ヘレディタリー/継承」

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ヘレディタリー/継承」観てきましたよ。

ホラー映画はあまり好きではないのですが(怖いから)、この映画は突然のBGM、悲鳴、化物がドーン!とびっくりさせるタイプのホラーではないという事と、なんだかおもしろい演出をしているというので見てきました。シネコンでもやってたのですが、レイトショー行って帰りに怖かったら困るので、真昼にやってる古き良き自由席の劇場のメンズデー。

結論としては、スゲードキドキしました。一方で、文化圏の差による怖さの伝わらなさも感じたり。


と言う訳で、いつも通り大ネタバレ大空白。

-☆-
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59!

-☆-

開幕、ドールハウス、というよりミニチュアハウスと言った方がいいでしょうか。断面に切られた家の中に、人形ではなくミニチュアの人型模型が飾ってあるようなやつです。精巧にできたこの模型にカメラが寄っていき、実際の部屋にフェードインするところから始まります。

主人公・アニーの職業が、このミニチュアジオラマ作りのようで、個展に合わせて作品を制作しているという事が分かってくるので、まあそこまで重要なアイテムではないんだろうな……なんて見ていましたが、最後まで見てから思い返すと、冒頭のこのカメラワーク、黒幕(悪魔です)がこの一家を既に完全にコントロールしていて、一連の流れは悪魔によるただのお人形遊び、とも取れるんですよな。
実際、この「断面図の家を眺めている」ようなカメラワークはあちこちで見られます。

そう考えると、"Hereditary" というタイトル(原題も同じです)、あらすじなどで語られている、祖母から伝わった(hereditary) という事ではなく、この一家がすでにもっと昔から、代々コントロールされてて……と考えると、結構ゾッとします。


そして、話に効いていた「突然びっくりさせるわけではない」恐怖。
控えめな効果音・BGM、そして役者の顔をアップにし、その表情・息遣いで「何かある」と伝える手法は、じわりじわりと真綿で締められるような感じの「怖さ」。これが手に汗握るというか、恐怖が積み重なるというか、もういっそここらで「どーん!」とBGM 鳴らして悲鳴上げさせてくれ! てなるんですわ。つらい。たのしい。
あと、アニー役の役者さんの表情が本当に怖い。よくもまあ人類の顔がここまで歪むものだ。表情だけでなく、娘・チャーリーが死んだ時の慟哭がもう。声だけなのに。


で。
映画の道中はホントドキドキして非常に楽しめたのですが、まあオチがな。というか、見て分かる演出面以外の、文化的な仕込みに馴染みがない。いうなればエクソシストとかオーメンの頃から連綿と伝わる、「キリスト教文化圏とアニミズム文化圏の、恐怖の差」というのをつくづく感じました。悪魔崇拝とか降霊祭とか、そういうものへの下地がなー。
ゆえに、ああ、悪魔に体乗っ取られオチね、とエンディング直前の流れはうーん。話題になるほど、後味の悪さは感じませんでした。
そうそう。見終わった後にネタバレレビューとか見たのですが、あのシーンに悪魔の紋章が、とか色々ありまして。しかし「お前らよく気付いたな!」レベルが多々。ハイコンテクストすぎるよ。
なので、ネタバレ気にしない人は、逆にネタバレサイトやパンフレット見てから行っても面白いかもですね。



最後に。やっぱりもっと後味の悪さを感じさせてほしかったです。例えば呪いが代々……とか思ったんですが、まあその発想が和製ホラーの文法だよ。


あ。
でも、エンドロールBGM の選曲は最高に趣味が悪くて大好きです。
悪魔に体を乗っ取られても毎日は続くよ、てな感じあるよな、あのポップな曲。

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